「眠れなくてつらい!」を克服するために知っておきたいこと

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認知行動療法


認知行動療法とは

不眠はあるものの、何とか仕事はできているし、気分転換もできる、心配なのはもっぱら眠れないことであるという人は、いわゆる不眠症で、認知行動療法が適応できます。認知行動療法は、不眠症の人に、睡眠薬の効果に匹敵する約70%の効果が期待できます。また、その効果は治療終了後も長続きするという長所があります。ただし、即効性はありません。また、生活習慣を変える努力も必要になります。一時的にかえって睡眠時間が短くなることもありますので、その時に気分の落ち込みを自覚する人もいます。不眠だけの認知行動療法の治療法には、自分でも取り組める不眠解消法のヒントがいくつかありそうなので、その治療法の実際を紹介してみます。
ただし、不眠に加えて、憂鬱な気分、ものごとを楽しめない、興味がわかない、何をするのも億劫だといった症状が二週間以上続いているなら、うつ病の可能性もあり、不眠だけの認知行動療法よりかなり専門的になるので、ここでは対象外とします。

睡眠日誌を用いた心理教育

認知行動療法は、心理教育、刺激制御法、睡眠制限療法、筋弛緩法などによって構成されます。まず、睡眠日誌を最低1週間つけてもらいます。布団に入った時刻、入眠した時刻、目が覚めた時刻、布団から出た時刻を大体でいいですから、翌朝に記録しておきましょう。また昼寝をしたか、夜中に目が覚めたかなども書き加えておきます。その際、薬や酒を飲んだ場合にはその種類と量、時間も記入してください。
睡眠日誌をつけることで、自分の睡眠習慣について具体的に振り返ることができ、夜間だけでなく昼間の生活習慣を見直すことに役立ちます。また、不眠症の重症度や不眠のパターンもよくわかります。また睡眠衛生上の問題点を見いだすことにも役立ちます。
睡眠日誌をもちいた心理教育の柱は、睡眠について正しい知識を持つことと、睡眠衛生・快眠法について学ぶことです。心理教育は、「睡眠時間についての治療教育」と「不眠症についての患者さんへの説明と睡眠衛生の指導」の二つから成ります。まず必要な睡眠時間は個人差が大きいこと、睡眠時間の長短にかかわらず、眠気や倦怠感、焦躁などがなく、昼間の生活に支障がなければ、その人の睡眠は充足していること、高齢で6時間の夜間睡眠時間が確保できていれば、それ以上高望みをするべきではないことを伝えます。不眠症は正確には「不眠恐怖症」であり、不眠の苦しみとそれがもたらす昼間の生活への悪影響を恐れて、一生懸命に眠ろうと努力する結果、寝床に入ると目が冴えるという「悪い学習」が身についてしまった病態です。そこで、自宅の寝床で眠ろうとするときの環境や、寝支度のすべてのものが目を覚ましてしまう「条件刺激」になっていることを説明します。また、眠くないのに早々と寝床に入って一生懸命に眠ろうと努力すれば、目が冴えるのは当たり前のことです。眠れないことを恐れて昼間不活発に過ごす、眠気を解消するためにコーヒーをがぶ飲みするなどの生活習慣も、不眠を悪化させる大きな要因であることを指摘し、睡眠衛生の指導につなげます。こうした心理教育によって、不眠はどういうものかを理解してもらったうえで、具体的な治療に移っていきます。

刺激制御法

慢性的な不眠症に睡眠薬と同じくらい有効とされています。先にも述べたように不眠症の患者さんは、寝床につくとかえって目が冴えるという「悪い学習」が身についてしまっています。この「悪い学習」を消去し、寝床につくと眠るという条件反射をつけることが刺激制御法の目指すものです。

刺激制御法の説明書 
  1.  眠くなったときのみ寝床につきなさい。
  2. 寝床を睡眠とセックス以外の目的に使わない。寝床で本を読んだり、スマホを見たり、食べたりしない。
  3. 眠れなければ、寝室を出て別の部屋に行く。本当に眠くなるまでそこにとどまり、それから寝室に戻りなさい。もしすぐに眠くならなければ、再び寝室から出なさい。この目的は、寝室から不眠を連想する悪循環をとめ、寝室と容易で速やかな入眠を関連づけること。
  4. もしまだ眠れないのなら、夜通し3を繰り返しなさい。
  5. いかに眠れなくても、目覚まし時計をセットして、毎朝同じ時刻に起きなさい。起床時刻を一定にすることは、体に一定の睡眠覚醒リズムを身につけさせるのに役立つ。
  6. 日中、昼寝はしない。

睡眠制限療法

睡眠制限療法は、寝床の中で過ごす時間を実際に眠った時間に近づけ、寝床に入った時間は確実に眠れるように持って行く治療法です。

睡眠制限療法の説明書 
  1.  床上時間を2週間の平均睡眠時間(実際に1晩に眠れた時間)+15分に設定する。ただし、床上時間が5時間が切るような場合は、5時間に設定する。
  2. 起床時刻は休日を含め、毎日一定にし、1で計算した床上時間に合わせて就床時刻を決める。
  3. 日中に昼寝をしたり、床についたりしない。
  4. 起床時に何時間眠れたかを記録する。
  5. 5日間にわたり床上時間の90%以上眠れたら、床上時間を15分増やす。

筋弛緩療法

眠りを妨げる精神の緊張を取り除くのが筋弛緩療法の目的です。不眠症の患者さんでは身体が緊張しやすくなっています。身体の緊張と精神の緊張は並行するので、身体の緊張をやわらげることで精神の緊張もやわらげることができます。
身体の力をぬく方法として「漸進的筋弛緩法」を簡単に紹介します。まず患者さんには特定の筋肉を収縮させて筋肉の緊張が高まった状態を自覚させます。次に、その筋肉の力をゆるめさせ筋肉の緊張が解けていく感覚と、筋肉がリラックスした状態を体感してもらいます。
胸から始めて順次、顔面、首、肩、胸、腹、背中、おしり、太もも、ふくらはぎの筋肉で収縮させて弛緩を行います。そして最後に、全身の筋肉に力を入れ、さらに力を抜きます。この動作を毎日2~3回、とくに寝る前に行うと効果的です。

睡眠薬の副作用も昔と比べればずいぶん少なくなり、安全な薬も多くなってきましたが、やはりリスクは伴います。専門の医師もと認知行動療法で不眠の改善をはかるのがベストな選択なのかもしれませんがこの療法はまだ充分普及しておらず、どこでも治療を受けられるというわけではありません。睡眠薬との併用で自分でできる行動療法を取り入れ、できるだけ睡眠薬を使わずに不眠の改善に取り組んでみたらいかがでしょうか。



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