「眠れなくてつらい!」を克服するために知っておきたいこと

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睡眠薬と認知症の関係

睡眠薬によって一時的に認知機能が落ちてしまうことは、よくあることですが、睡眠薬を長期に服用していて認知機能が低下してしまうかどうかは、まだ結論がついていません。認知症は脳の神経細胞が正常の老化によって病的に減少して起こります。しかし、睡眠薬が神経細胞にダメージを与えて、減少するということはないので、医学的に睡眠薬の副作用で認知症になることはないといえます。
しかしながら、ベンゾジアゼピン受容体に作用する睡眠薬は、認知症のリスクを高めるのではないかと懸念されています。ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、脳内のGABAの働きを強めて脳の活動を抑えることで効果を発揮します。薬が効いている時には、物事を記憶することはもちろんのこと、いろいろな情報を判断する認知機能は低下してしまいます。これらの短期の影響は、薬の効果が薄れるにつれて改善していき、睡眠薬がなくなれば元の本人に戻ります。これに対し、睡眠薬を長期間使う場合は、脳の活動が抑えられている状態が長く続くということですから、認知機能に良い影響はなさそうです。
しかしながら認知症を発症するのは、かなり時間がたってからです。それを科学的に証明するには年月が必要になります。医者が認知症への影響を実感するにも、長い年月が必要になるので、睡眠薬によって認知症のリスクが高まるかどうかは、はっきりと結論づけられていません。ですが、このような長期間、脳の活動が抑えられると、薬をやめるとすぐに認知機能が改善するとは考えられません。このため2014年に発表された「睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン」では、疫学調査の結果は一定せず、結論がでていないとしながらも、睡眠薬の服用期間や用量を増やさないように心がけながら治療をすすめていくべきとしています。
2014年9月にBMJ誌に、Sophie Billioti de Gage氏らは、高齢者へのベンゾジアゼピン系長期投与は認知症リスクを上昇させるという報告を行いました。これは、カナダに住む67才以上の高齢者を対象として行われた、アルツハイマー病の患者約1,800人と、認知症ではない約7,200人を比べたものです。 6年~10年前までさかのぼって研究されましたが、睡眠薬を飲んでいる人は飲んでいない人の1.5倍、アルツハイマー病になりやすいことが分かりました。
このような研究を紹介すると、過敏になってしまい、ベンゾジアゼピン系睡眠薬を飲むと認知症になる危険性が高まると考えがちですが、少し早計かと思われます。確かに必要のないケースで使うことは避けるべきですが、 ベンゾジアゼピン系が必要だと判断される状態なのであれば 一定期間使用することは悪いことではありません。
実際、この研究でも、この研究でもベンゾジアゼピン系睡眠薬の累積暴露期間3か月以下相当群では、 アルツハイマー型認知症発症と関連なしという結果になっています。全く危険の伴わない、副作用もない睡眠薬というのは存在しないのかもしれませんが、主治医としっかりと相談しながら、 必要以上に服薬しないよう注意すれば、影響はほとんどないと断言できるのではないでしょうか。

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