日本人の寝酒信仰

アルコールには、不安を減らしたり、気持ちを落ち着けて眠りに誘ったりする働きがあり、不眠を解消するために、寝る前にちょっと一杯と寝酒をたしなむ方が多くおられます。 日本を含む世界10カ国の3万5327人を対象に睡眠に関連する行動を調査した研究では、寝酒をする日本人の割合は30.3%で、10か国の平均19.4%を大きく上回っています。久留米大学病院の睡眠障害外来を受診した50歳以上の不眠症患者さんのうち、実に8割以上が睡眠薬代わりにお酒を飲んでいた、という調査結果もあります。日本人には、睡眠薬よりお酒の方が安全という誤った思い込みがあるようです。

寝酒が睡眠の質を下げる理由

確かに少量のアルコールは、少量のアルコールを飲むと、寝つきが良くなるのは事実です。しかし、アルコールの代謝が活発化する睡眠の後半になると、アルコールを分解する過程でできるアセトアルデヒドが交感神経を刺激することで中途覚醒が増加したり、通常の睡眠時に働いている抗利尿作用が弱まり、トイレが近くなってしまいます。また、毎日飲み続けていると、アルコールに対する耐性ができてしまい、眠気を感じるまでのお酒の量が増えいき、アルコール依存症になるリスクが高まります。このようなことから、寝酒は睡眠の質を下げるのでよくないというのが通説になっています。

睡眠の質を落とさないお酒のたしなみ方

ただ、寝酒をたしなむ方は、寝つきをよくするために無理やりお酒を飲んでいるのではなく、お酒が好きで、ついでに寝付きもよくしようという人が多いと思います。そこで、睡眠の質を下げないお酒の楽しみ方をまとめてみました。
睡眠の質を下げないためには、お酒の種類ではなく量と飲む時刻に注意することが大切になります。アルコール摂取量20g(日本酒約1合、缶ビール1本程度、グラスワイン2杯弱)が分解され体内から消えるまで、3~5時間を要します。アルコール摂取量が2倍に増えると、分解にも2倍の時間がかかります。ということは、夜は11時に眠りにつく生活習慣の方ならば、午後6~8時ぐらいに日本酒1合程度を飲むのであれば、睡眠の質にはあまり悪影響を及ぼさないといえます。つまり、夕食時間中の晩酌程度なら大きな問題はなく、お酒のリラックス効果を有効活用しながらぐっすり眠れるといえます。

また、酔った夜に睡眠の質を落とさない、とっておきの方法を紹介いたします。それは、抱き枕を使って横向きに寝ることです。体がほぐれやすくなるだけでなく、アルコールによって喉が腫れたり、舌が弛緩して呼吸の通り道をふさぐ状態が改善され、眠りの質が良くなるということです。抱き枕を使えば寝姿勢が安定します。