「睡眠と肥満の関係」はさまざまな研究機関でさまざまな実験が行われてきています。
2013年にはカリフォルニア大学で、MRIを使って、睡眠不足の被験者の脳活動における変化を特定しました。これは、夜間に十分な睡眠を取った後と、夜間に十分な睡眠を取らなかった後に、80種類の食品の写真の中から、食べたい品目と分量を選ばせ、その間に脳活動を測定したものです。結果は、睡眠不足の被験者の中で、大脳皮質の食欲と満腹感を評価する領域に脳活動の低下が見られたり、渇望に関連する脳の領域に脳活動の上昇が見られたりしました。さらに、睡眠不足の被験者が高カロリー食品により強い食欲を感じたという結果がでたようです。
2/2の朝日新聞に、これらの研究を受け、筑波大学の研究チームが、寝不足だと太りやすくなるのは、レム睡眠の減少と関係があるという研究成果を、英科学誌イー・ライフに発表したという記事が載っていました。睡眠不足の人は、睡眠が十分な人に比べ、なぜ高カロリーの食品をたくさん食べ、肥満になりやすのか、その仕組みについて一歩踏み込んだ研究のようです。
筑波大学のミハエル・ラザルス准教授らは、飼育ケースの底に金網をしく不安定な環境にマウスをおくと、レム睡眠だけが極端に減る現象を利用して、レム睡眠の長短によって、欲する食物の傾向が変わってくるのかを調べました。その結果、通常の状態で飼育したマウスに比べ、ショ糖が多い甘い餌と高脂質の餌を約3割多く食べました。
次に、味や香りなどを判断する役割を担う脳の「前頭前皮質」と呼ばれる部分の働きを遺伝子改変技術で抑えて同じ実験をしたところ、高脂質の餌はたくさん食べましたが、甘い餌を余計に食べようとはしませんでした。
この2つの実験から、レム睡眠が減ることで前頭前皮質が甘い餌を欲する可能性があることがわかってきました。
ラザルス准教授は「なぜこうした減少が起こるかは不明だが、睡眠の総量が減ればレム睡眠も不足し、肥満の一因になりうると考えられる」と話しています。