5日の朝日新聞に、寝ている間に体の中に何が起きているのか、実はいまだにはっきりわかってはいないが、説明しうる仮説はいくつか出ているという記事が載っていました。
その一つに、寝ている間に脳の老廃物を掃除する「グリンパティック・システム」なる仮説が紹介されていました。この仮説は、ロチェスター大学医療センターのマイケン・ネーデルガード氏らが主導した研究チームが、2013年に米科学誌サイエンスの発表したものです。
グリンパティック・システムは、脳と脊髄を囲む透明な液体である脳脊髄液の流れの制御を助けるものです。研究チームはマウスの脳を調べて、睡眠中に、この脳内の配管システムが開き、脳内に急速に脳脊髄液を流れ込ませ、脳内の老廃物を洗い流すことを発見しました。対照的に、目を覚している時には脳への脳脊髄液の流入は非常に少なかったことがわかりました。就寝中はこの脳内老廃物を排出するグリンパティック・システムは、目が覚めている時に比べて、その活動量が約10倍になるとみられています。マイケン・ネーデルガード氏は、「脳が自由に使えるエネルギーには限界がある。ハウスパーティーを開く家の主に例えると、来客を楽しませることと、散らかった家をきれいにすることを同時にできないようなものだ」と述べています。ちなみにこれらの老廃物には、蓄積するとアルツハイマー病の発症につながるとされているアミロイドベータと呼ばれるタンパク質が含まれています。
ただし、長く寝ればその分だけ老廃物が効率よく排出されるのかは、長時間睡眠が認知症のリスクを高めるという調査データもあり、まだよくわかっていません。グリンパティック・システムを活発にさせるのは、深い睡眠なのか、体内時計によって活発になる時刻が決められているのか、など今後の研究が待たれるところです。
ほかに、膨大な情報を受け取る脳では、睡眠中に増えすぎた不要な神経細胞同士の結びつきを整理し、情報処理に最適な状態に整えているなどの説もあります。
まだまだわからないことが多い睡眠と脳の関係ですが、しっかり眠らないと脳をはじめ、体のさまざまなところに変調をきたすのは確かなようです。